特集 妊娠中毒
妊娠中毒症のおそれある妊婦の保健指導
相良 サク
1
1東京都築地産院
pp.23-26
発行日 1961年9月1日
Published Date 1961/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202193
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はじめに
かつてわが国の妊産婦死亡率は欧米に比べはるかに低率で,昭和の初期には米英の半分以下でありました.ところが外国では妊産婦死亡率を低下させるために積極的な努力がなされているので年々減少しているのに,わが国の減少率は非常に緩慢で,最近では諸外国に比べはるかに高率となつています.従来妊産婦死亡の三大原因として妊娠中毒症,出血,産褥熱があげられておりましたが,近年抗生物質,サルファ剤などの出現で,産褥熱の死亡はいちじるしく減少して来ましたが,妊娠中毒症,出血による死亡は依然として高くなつております.母性衛生の立場から妊産婦保健指導が法的に打ち出され,これに力を入れ始めてから10余年ほど過ごした今日まで,妊娠中毒症の死亡を低下させるために各方面で積極的な対策が考えられて来ましたが,原因すらはつきり究明できず,今後産科医と共に私達助産婦の方面での活躍が大いに期待される大きな問題だと思います.この問題でここでは早期妊娠中毒症(悪阻)を除き主に妊娠後半期の中毒症について考えてみたいと思います.
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