特集 妊娠中毒
妊娠中毒症の看護
森 幸
1
1国立京都病院産科病棟
pp.19-21
発行日 1961年9月1日
Published Date 1961/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202191
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1.はじめに
以前私共は,妊娠中毒症について
(一)妊娠悪阻,(二)妊娠腎,(三)急性黄色肝臓萎縮症,(四)子癇,このような,項目をならべて教わつたものである.(一)の妊娠悪阻については,女性のごく常識的なものとされ,(三)の急性黄色肝臓萎縮症はまれではあるが,妊娠中毒症の一つとして,肝の侵される疾患群であり,予後不良であるというように記憶している.(四)の子癇については,妊娠中の保健指導の普及により,定期的な診察によつて,それ以前に治療が施されるようになり,子癇発作などは,ほとんど経験しない.そこで取りあげる問題は,(二)の妊娠腎,いわゆる子癇前症として,診断され,入院加療の必要ありということで,病棟のほうにまわされる,晩期妊娠中毒症について,私共の行なつている取扱い方をのべてみる.それも,家庭では,平気で日常生活を営んでいて,定期的な診察で発見されたもの,浮腫強度で,血圧上昇,尿蛋白を認め,日常生活はもちろん,身体的に相当苦痛を覚えるのに,姑のために牛馬のように働かされて,耐えられなくなつて,ようやく病院を訪れたもの,このように,ごく軽症から,重症まで,その中にはかなりの差があり,それぞれである.
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