原著
正常非妊婦人,正常妊婦および重症妊娠中毒症妊婦におけるplasma thromboxane, prostacyclin
荻野 満春
1
,
冲永 荘一
1
,
貝原 学
1
,
神保 利春
2
,
安部 陽一
2
,
岡原 猛
2
Mitsuharu Ogino
1
,
Toshiharu Jinbo
2
1帝京大学医学部附属市原病院産婦人科
2香川医科大学母子科学薬理学
pp.347-351
発行日 1987年5月10日
Published Date 1987/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409207594
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相拮抗する生理活性物質であるthromboxane A2(TxA2),prostacyclin (PGI2)は,その相互のバランスを厳密に保ちつつ生体の恒常性維持に関与している。本研究では,非妊時—正常妊娠時—重症妊娠中毒症合併妊娠時(以下中毒症)という一連の生理的・病的変化におけるTxA2,PGI2の母体Plasma中の動態をその安定代謝物であるTxB2(以下B2),6—keto-PGF1α(以下6K)としてRIAで測定し検討した。正常妊娠時には,非妊時に比べB2,6Kは共に増加したが,これらの生理的バランスであるB2/6K比は有意の変化を示さなかった。他方,中毒症ではB2は中等度から有意の上昇を示し,6Kは妊娠性変化を殆んど示さず非妊娠時とほぼ同レベルであった。その結果,中毒症ではB2/6K比は有意の上昇となった。このことは,中毒症におけるTxA2の産生優位が子宮—胎盤あるいは腎における血管病変と多彩な病像形成の主たる原因となっていることを示唆したものと言える。
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