講座
後期妊娠中毒症の統計的観察—特に新生児について
久保 博
1
1国立東京第二病院婦人科
pp.12-17
発行日 1958年11月1日
Published Date 1958/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201564
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後期妊娠中毒症とは臨床的に妊娠が原因で浮腫,高血圧,蛋白尿,痙攣等の症状をあらわす疾患を言うのであつて主として妊娠の終りの3カ月頃に好発いたします.この中毒症が妊娠,分娩,産褥は勿論,後遺症として時には長期間障害を残すことがありますので女性にとりましては一大恐畏であります.今回は母体に関することには触れず,生れて来る胎児殊に新生児に,この中毒症がどのような影響を及ぼすであろうかを少しく統計的観察に従つて述べてみたいと思います.この統計は昭和29年より31年の3カ年に亘る北は北海道より南は四国,九州に及ぶ全国21カ所の国立病院に於ける分娩総数18,473名のうちの後期妊娠中毒症患者2,831名についての観察であります.只今後期妊娠中毒症と綜合的の病名を申しましたが,そのあらわす臨床症状は多種多様であつて,季節の相違,栄養状態,年令的差異,妊娠回数のほか体質遺伝,社会環境等によつてその症状の形や強さも異りますので中毒症を更に数個の徴候群に細別して,その両方面から検討してゆくことにいたします.
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