研究
妊娠中毒症が児に及ぼす影響について—新生児期の臍帯脱落および体重減少に関する統計的観察
今井 郁子
,
岩根 淳子
,
窪田 泰子
,
渋谷 千恵子
,
横田 光江
pp.27-31
発行日 1967年3月1日
Published Date 1967/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611203360
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I.はじめに
妊娠中毒症は,母体におよぼす影響が著しく,母性保健の立場から,大きくとりあげられている.一方,妊娠中毒症では,胎盤の機能低下に基づく胎児への影響も重大であって,子宮内胎児死亡や未熟児が多くの人によって指摘されている.東大病院産婦人科教室の統計*でも,非中毒症の子宮胎児死亡は,6471例中0.4%であるのに,妊娠中毒症では720例中4.3%で,非中毒症の10倍に達しているし,未熟児の頻度も非中毒症の5.6%に対し,中毒症では14.9%と著しく高い.しかも,同じ体重の児でも妊娠中毒症母体からの児は,周産期死亡率や仮死率が対照の2倍以上に達する.という成績が示されている.これは妊娠中毒症の児の質的な未熟性を暗示しているのではないだろうか.そこで私たちは妊娠中毒症の児の質的な未熟性を新生児期における臍帯脱落現象と生理的体重減少の面から検討してみた.
この臍帯脱落および生理的体重減少に関しては,未熟児ほど臍帯脱落が遅延し,生理的体重減少が著しいことまた,早産未熟児の方が満期産未熟児よりもその傾向が著明であるとされているので**これが児の未熟性の指標となりうるのではないか,と考えられるからである.
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