特集 新生児と未熟児の問題
未熟児と妊娠中毒症
久保 博
1
,
小泉 秀夫
1
1国立東京第二病院産婦人科
pp.45-49
発行日 1962年4月1日
Published Date 1962/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611202308
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近来わが国の乳児死亡率はいちじるしい減少をみせているにもかかわらず,新生児死亡についてはその減少の度はかんばしくありません.これは新生児死亡のうち比較的多い未熟児の死亡が,その一因をなしていることは否めません.こうした意味においても未熟児対策は緊急の問題であります.したがつて未熟児出生に影響を及ぼす因子の追求は産科医としてまず手をつけねばならぬ問題であります.従来未熟児に関する統計的観察は少なくないのでありまして,未熟児の出生に対する原因の考究も種々なされておりますが,要するに出生原因は複雑多岐でありまして,したがつて原因不明の場合が少なくないのであります.原因とみられる母体合併症のうちでも妊娠中毒症の占める率の高いことは一般に認められていることであります.妊娠中毒症の本態の追求およびその治療は,今日いちじるしく進歩はしておりますが,なお未解決の問題が非常に多いのであります.以下私たちが検討しようとしております妊娠中毒症と未熟児との関係もその例にもれないのであります.よつて私たちは厚生省共同研究妊娠中毒症班の資料に基づきまして,未熟児と妊娠中毒症について総計的観察を試みておりますので,その一端を報告し,未熟児対策の一助となればと考える次第であります.調査資料は昭和29年より34年にいたる6カ年間,全国21カ所の国立病院における総分娩例46,377例中の妊娠中毒症4,482例についての調査であります.
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