特別寄稿
妊娠中毒症における胎児・新生児管理
日高 敦夫
1
,
北中 孝司
1
,
友田 昭二
1
,
川端 和女
1
,
池田 春樹
1
1大阪市立大学医学部産科婦人科学教室
pp.600-607
発行日 1990年7月25日
Published Date 1990/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900133
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はじめに
妊娠中毒症のうち高血圧症が及ぼす胎児への病態として,早産発症,胎児発育遅延(IUGR),そして急性胎児仮死(acute fetal distress)などがみられやすい。なかでも,重症高血圧症あるいは3週以上にわたる高血圧の持続症例では,こうした病態が増悪し1),やがて児を胎内死亡へと至らしめることがある。
したがって,妊娠中毒症高血圧例(pregnancyinduced hypertension:PIH)における母児管理は,まず高血圧の持続とその重症化を防止することが肝要となる。そのためには,ハイリスク因子をもつ妊婦を注意深く管理し,できるだけ早期に診断を下し,軽症時からの安静を主とした入院管理が勧められる。すなわち,早期に診断し管理を始めることが,母児予後の改善に大きくつながるからである1)。
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