補習講座
産褥恢復期の衛生と保健指導
竹内 繁喜
1
1都立築地産院
pp.50-55
発行日 1958年7月1日
Published Date 1958/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201510
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まえがき
妊産婦の保健指導の面で現在最も忘れられているのは産褥恢復期の衛生であります.苦しい分娩が済むと,たとえ分娩が少し位異常で,又合併症等があつても,分娩後は母親の注意は自分自身にでなく,大部分は子供に向けられるようになります.実際妊娠や分娩の経過が正常の場合には,分娩後の母体の恢復は驚く程早く,この原因は子供に対する母親の愛情の発生という精神作用であると迄言われており,又子供を保護し看護しなければならぬという責任がこの恢復を早めるものと考えられています.
このようにして,9カ月もの妊娠に伴なう神経の緊張,分娩に伴なういろいろの障害から母親自身は尚恢復の途上にあるという事実迄も忘れさせているのです.
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