特集 知つておきたい麻酔のすべて
リカバリー・ルーム(恢復室)における看護
山本 享
,
久保田 歌子
,
池上 とめ
,
佐々木 よし子
,
海老原 良子
pp.127-147
発行日 1957年4月15日
Published Date 1957/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661910323
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恢復室の機能は各病院の状況によつて異り,或る所では午後5時又は6時になると閉鎖されて,患者は病室に送還されるが,他の所では大手術を受けた患者は翌日まで恢復室に留り,若し経過が順調でなければ2,3日をそこで過ごすような仕組みになつている。このように恢復室滞在期間が異つているのは,その機能が標準化していないことを意味している。滞在期間を数時間に限定している恢復室は,緊急処置に習熟した要員及び救急処置材料を具備した場所で,患者が麻酔から覚醒するまで管理しておくことを目的としている。覚醒期には呼吸合併症(主に閉塞)や術後出血の発生頻度が高いから,同時間の他の時期よりも危険であると云うことは予想される。意識が恢復する前にみられる出血や他の合併症—例えば急性気道閉塞—の危険は術後6時間又は8時間以後には最小となるが,他の多くの合併症—例えば無気肺,電解質平衡の失調,循環血液量減少—はそれに続く24時間に発生し得るものである。従つて大手術を受けた患者は少くも24時間は恢復室に留めておくことが妥当であることが分る。恢復室看護婦は急速に専門化され,その経験は疑もなく術後合併症発生を最小に止めることに役立つであろう。しかし看護婦の能力は設備及び器具によつて大いに左右されることを忘れてはならない。
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