随筆
産婦人科こぼれ話(4)—助産婦の今昔
中山 安
1
1東横病院
pp.47-51
発行日 1957年12月1日
Published Date 1957/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201390
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昔といつても,わたくしが幼少のころからの,多少,世間がわかり始めた頃からの助産婦さんと,昨今の助産婦さんの思い出や何かを述べて,これからの助産婦さんはどうあるべきかということを書いてみたいとおもうのである.
わたくしが40才内外のころ,或る雑誌社から50年後の開業医はどうなるかということを書かされたとき,恐らく開業医は成り立つまい,何となれば治療の諸器械は著しく発達し,それを個人開業医が購入することは困難であろう.また他方諸検査が綿密になり,物理的化学的の治療法の進歩は到底,個人では出来ないことになるだろう,と個人開業医を対象として書いたことを覚えている.ところが,それから凡そ30年を経過せる今日,すこしも開業医は不便なく診療を続けているところから,めつたな予言めいたことをいうものではないと,ひそかに愧ちているのである.当時50年後という課題であるので,まだ,あと20年あるが,いまの様子から推して,開業医は矢張りいまと大差ないのであろうとおもう.
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