随筆
産婦人科こぼれ話
中山 安
1
1東横病院
pp.66-69
発行日 1957年9月1日
Published Date 1957/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201341
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自然とお産
科学の進歩は目ざましいもので,まつたく驚ろくほかはない.南極探険もその一つの現われで,少しでもこの狭い地球を広くしたいものと企てられているわけである.つい2,30年まえまでは思いもよらぬことであつた.ひとえに諸機械と航空機の発達の賜である.
人類が動物に優れている特性は自然を克服することにあるそうで,そういえば人間は何でもやろうとおもえぼやつてのける.鉄道を造つたり,港湾を埋立てたり大きな水源池をこしらえたりする.動物には出来ない芸当である.そればかりか,この頃は地球の観測をするために,また,ことによつたら火星にまで乗り移ろうとする,まつたくもつて夢のようなことを企てて人工衛星を造るのだそうである.火星に行く途中に寄り所となる星をこしらえるのだそうである.それが決して夢でも何でもなく数10年のうちには実現するだろうというのだから,ちよつと長生きしてみたいものだと希望が湧いてくる.火星に乗りうつる,まるで軽業師でもやりそうなことが言われている.名実ともに天国にゆけることになる.
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