社会の動向
「暮しの手帖」のセンス
長谷川 泉
pp.54-56
発行日 1957年10月1日
Published Date 1957/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611201356
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「暮しの手帖」という一風変つた雑誌が,いつの間にか大雑誌にのし上つた.一気にのし上つたのではない.極めて地道に時をかせいだのである.
第1にこの雑誌は月刊ではない.月刊誌であれば,月おくれの雑誌は売れない.返品の荒繩にかけられるのがおちである.この雑誌は,ありふれた月なみ雑誌ではないから,仮りに月おくれになるようなことがあつても,単行本なみに書棚に収まつている.いや書棚には収められないで,ひらに雑誌売場を占拠する.そこいらに,やたらにころがしているあくどい極彩色の表紙とは違つて,一種芸術風の匂いを発散させている表紙であるから,その点でもユニークであり,別格に扱われるであろう.
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