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冬のある日の私の一日—〔助産婦の暮しのレポート〕
俵 アイ
1
1俵第一助産所
pp.44-50
発行日 1955年10月1日
Published Date 1955/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200933
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夢に青鳩の声をきく
私は白い雪の積つた山の上に一人立つている.上を見ると山と山とが重り合つて白一色の銀世界である.下は深い深い谷間で底がみえない.普段は歩くことの一番苦手な自分が今日は何んと兄が軽くて,どんどんと登つて来てとうとうこんな高い処まで来てしまつた.
どこかで鳥が鳴いている.アオーアオー.あれは子供の時山の中できいたなつかしいが淋しい声だ.子供の時山へ遊びにゆき,(栗拾いや竹の子とりに行き)よくアオー,アオーと鳴く声を聞いては淋しくなつて走つて家に帰つて来たことを思い出したが今日は実に静かで美しくみえる.
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