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中央材料室「暮しの手帳」
安冨 徹
1
1國立京都病院外科
pp.25-27
発行日 1952年12月1日
Published Date 1952/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541200569
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中央材料室の設置が近代病院の一つの重要な要素と考えられるようになつて來たのは,必ずしもアメリカの猿まねではないようです。現在の日本ではどこの病院でも人手特に看護力の不足が甚しいようです。しかし人手不足をお念拂のようにとなえるばかりが能ではありません。一つの看護力を増加させると云うことは,勿論積極的に人員を増加させることが第一ですが,それがむつかしいとすれば,一方に於て現在の看護力を100パーセント,ベツドサイドワークに向けるという道しかありますまい。中央材料室の設置の意義がこゝにあると思います。
ところが,注射器を洗い,滅菌するという仕事を1ヵ所に集めて見たところで,病室でやつていたのと全く同じ方法でやるのでは人手の總和が1ヵ所に集められたにすぎないわけです。材料室の勤務人員がナースであり,しかもそれを病室のナースの中からぬき出すのだとしたら,病院全體の看護力は少しもふえない勘定です。逆に,ぬきとられた病室はかえつてめいわくを感ずるところも出てくるかも知れません。まあせいぜい,病室の「シンメルブツシユ」の燃料費と注射器のこわれ方が少し減るくらいのものでしよう。
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