--------------------
海外だより
森島 侃一郎
pp.52-56
発行日 1955年10月1日
Published Date 1955/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200935
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
☆産科的無尿症☆
Jamaica島キングストンのDavid Steward産婦人科教授は子癇前駆症及び子癇を伴うた子宮抑圧の治療と題し過去18カ月間に1518件の分娩を取扱い内6例の本症例を経験し,其内5例は急速に且延長せる血圧下降があり,之れが無尿症或は乏尿症を起すに発端的因子になつたのかも知れなかったと説いた.
患者の一人は子癇で死亡した,他の5名はBall氏摂養法による保守的療法で回復した.此摂養法は腎機能が立直る迄患者を温存凌がすことである.それ故其形成としては水の收支の平衡について注意深く管理することであり且組織細胞からカリウムの遊出と蛋白代謝を最小限にする為めに充分に含水炭素の取入をさせることであった.そして加ふるに貧血を治療し感染を予防し,電解質の不安定特にカリウム,ナトリウム重炭酸塩などは正しくされねばならぬ.若しも液体の要求量が胃内で取ることが出来なかったら,其時は静脈内で与へられるべきである,若し必要とするならばプラスチック製カテーテルによる方法で上,或は下大静脈に注入することもある.
Copyright © 1955, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.