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海外文献
pp.192-194
発行日 1950年11月15日
Published Date 1950/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200743
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抗ヒスタミン劑と風邪
抗ヒスタミン劑が風邪の經過を短縮する最初の報告が1947年Brewsterによりだされ,Gordon,MurrayさらにArminio and Sweetが報告し,ある藥品製造業者がこれを受納れ,大衆は"驚異的新發見は數時間で風邪を退治する"というような廣告につられて熱狂的な支持をし,ついに合衆國醫學會の薬理化學委員會は,科學的に認められる研究が成就されるまで風邪にたいする抗ヒスタミン劑の効用は留保すると結論した。
その後Cowan and Diehlは,ビタミンCなど諸種の僞薬でも抗ヒスタミン劑と同じ効果をあげることを證明したが,イギリスの醫學會ではこの間題を愼重にとりあげ,風邪研究班を特別に組織した。その報告1)によると,篤志家の鼻粘膜に風邪のビールスを注射し,無作意に半數づゝ抗ヒスタミン劑と僞藥とをあたえた。結果は明かで,抗ヒスタミン劑の大量は,風邪を豫防することも,その性質をかえることもなかつた。多少影響があるとすれば,第1日の終りに微少な差があるが,アレルギ一性鼻炎を伴つた者にきゝめがみとめられる程度で,殆ど實際的重要性をもたない。Lorriman and Martion2)の獨立しておこなわれた臨床的研究も,風邪研究班の結果を裏付け,全治療日を通じなんらの効果ある差異をみとめなかつた。
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