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海外だより
森島 侃一郎
pp.46-49
発行日 1955年9月1日
Published Date 1955/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200916
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☆「いとこ」同志の婚姻☆
米国優生学会会長C. Nash Herndon博土は有名な遺伝学の研究者だが最近之等に関する論文を一纒めにして発表し茲に所謂「いとこ同志の結婚」について論じている.
若し総ての家族的遺伝因子が正常である「いとこ」同志の結婚は問題もなく又悪い結果もない.然し不幸にも殆んど誰でも小は眼疾患から大は糖尿病や高血圧や或は若干の精神病疾患などの欠陥ある遺伝因子を持つている.それ故「いとこ」同志の結婚は常に正常の子供という観点から見れば誠に高い危険がある.或る人が一つ或はそれ以上の異常の遺伝因子を持つているから,此人と結婚した「いとこ」の人の中に現われてくる同じような欠陥の遺伝因子は8分の1である.この事は子供の結実に取つて誠に貧弱な基となる劣等の差がついてくる.之れがもしも「いとこ」同志の結婚の場合には重複した量で引継がれるので,恐らく其一方何れかには少なくとも一つの隠された好ましからざる因子或は退行性の遺伝因子を持つているため,之が重なり合つて重症のものとなり,或は無能のものとか不具のものとか甚だしきは死を来たす源となるものである.かくて「いとこ」同志の場合とは其隠れた異常の遺伝因子は其双方の両親から引継がれて其子供たちに4分の1に伝わることになる.
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