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海外だより
森島 侃一郎
pp.36
発行日 1956年1月1日
Published Date 1956/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200983
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分娩時の局所麻酔量
以下は英国の産科医John Gordon氏の記述だが,同氏は最近,重症の分娩に立合した.児は懸命になつて号叫し,其母は疲労して殆んど無関心状で,既に其瞳孔は開き,呼吸困難で且速脈であつた.鉗子分娩が適応で其為め局所麻酔が行われたのであつた.2%のリグノカインの60〜70ccが浸潤麻酔として行われた.其子供は間もなく分娩後回復し,其母も若干時間後に回復した.
此話の目的は,若し局所麻酔下にある鉗子分娩が局所麻酔の最大限と思われる際でも安全であるかどうかを指適するためである.プロカインやリグノカインの何れの場合でも私は1gは最大限量として許し得るものだと思う.そしてそれを1/2%の液として200ccを或は1%の液として100ccを或は2%の液として50ccを使用することが出来る.それ以上はアドレナリンの注射液から省かれるならば呼吸は一層早くなり特に其部分の血液の供給が良好となり,出産時に母性の会陰の如きは亦そうなると思うと
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