書評
—三谷 靖著—妊娠・分娩産産褥と性器腫瘍/—伊藤 整著—女性に關する十二章
pp.57
発行日 1954年7月1日
Published Date 1954/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200654
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元来,女性性器は各種の腫瘍が発生し易い器宮であつて,婦人科医の診療対象となることが多い.ことに最近のように化学療法が発達してくると炎症性疾患は少くなり,手術ことに開腹手術の対象となる患者では性器腫瘍が相対的に多くなつている.一方また,妊娠は成熟既婚婦人の生理的現象で多いことはいうまでもない.しかし,この両者が合併することは,いろいろの理由からそんなに多いものではないが両者ともなんといつても,それぞれ絶対数が多いのでその合併症もさほど稀ではない.しかし妊娠という事実が加わるためにその診断はもちろん治療も非妊時の性器腫瘍と異なつた点がある從つてこれらのことを知つておくことは必要である.妊娠に合併する腫瘍としては卵巣の良性腫瘍,子宮筋腫子宮頸癌が主なものであり,本書はこれらについてそれぞれ合併頻度から療法にいたるまで詳細に述べている.本書は開業医を対象とし一事,一病,一時間を主旨とする医家叢書の1册として著わされたものであり,平易な叙述で読みやすく,読者の御参考になる点が多いと思う.
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