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關節面癒著防止膜の研究
河野 左宙
1
1九州帝國大學醫學部整形外科教室
pp.13-16
発行日 1947年7月10日
Published Date 1947/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407200217
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1. 緒言
強直關節に對する授働手術は我邦に於ては未だ一般に廣く行はれてゐない。このことは本手術が其適應症の選定が稍々困難なること,手術が技術的に必ずしも容易ならざること,絶體的無菌手術を必要とすること,後療法に特殊の器械を要する場合あること,及び其目的とする手術關節の運動性の恢復と關節支持性の獲得の點に於て必ずしも常に滿足すべき成績が得られぬこと等が,其一般化せぬ主な原因と考へられる。
關節成形術に關聯した課題の中で,中間挿入物の研究は蓋し最重要問題であらう。このことに關して,九大整形外科では,住田前教授の時代より其研究に着手し,同教授は主として生筋膜を中間挿入物とする手術方法をとられたが,神中教授は更に動物死膜を中間挿入物とする手術法を研究せられて今日に及んだ。現今強直關節の授働術に當つては何等かの中間挿入物が必要であることは最早や常識となつてゐる。動物死膜挿入の場合は,後療法の疼痛が比較的輕い點に於て生筋膜挿入手術に優るけれども,假令ばベア膜挿入時にみる如く其刺戟度が強いため,時に術後瘻孔形成乃至挿入膜の排出をみる場合が少くない。かゝる現状に於て,余は神中教授の提唱と指導により,教室生田氏の業績に續き,以上の缺點を補ひ得て而も新關節の再生に好影響を與ふる如き中間挿入物の製作を目論み,家兎を使用して2,3の實驗を行つた。
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