講座
妊娠末期の出血
岩淵 庄之助
1
1慶応義塾大学医学部産婦人科教室
pp.20-23
発行日 1954年7月1日
Published Date 1954/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200641
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妊娠末期の出血は妊娠前半期の出血に比べて,その予後は極めて不良なものが多く,早く確実な診断,適当な処置がされない場合には母兒共に生命の危険にさらされるものが少くない.疾患としては前置胎盤,正常位胎盤の早期剥離,子宮破裂,静脈瘤破裂,早産である.更に妊娠中におこる婦人科的疾患による出血としては粘膜ポリープ,腟部ビラン子宮頸癌,子宮筋腫,卵巣嚢腫を考えなけばならないが,これら婦人科的疾患は子宮筋腫を除いてはその出血の原因を容易に知ることができる診断の難しい子宮筋腫でも粘膜下筋腫以外はそれ程困難ではない.幸に粘膜下筋膜では妊娠することは極めて稀である.妊娠末期の出血には以上の疾患を念頭に置いて妊婦に接しなければなならないが,本文では特に産科的疾患による出血について話をすすめたいと思う.
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