今月の主題 内科臨床における心身医療
社会的広がりの中で考える
がん告知と末期医療
河野 友信
1
1聖路加国際病院心療内科
pp.1185-1187
発行日 1995年6月10日
Published Date 1995/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402903714
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ポイント
●「がん告知と末期医療」が注目されるようになって約20年経ったが,いまだ臨床の現場ではがん告知をめぐって混乱がみられ,がん末期医療は多くの問題を抱えている.
●がん告知については,真実を告知するのが原則である.それは,インフォームド・コンセントにもとづく医療をするうえで,病者の自己決定・自己選択を援助する意味から重要である.しかし,臨床現場の現状は,がん告知はケース・バイ・ケースとされ,特別な限定された条件下にある以外はがんを告知しない方向にある.予後の告知にいたっては,なされてないといってよい.
●がんの末期医療は,ケア中心のホスピス医療が原則である.しかし,現状は厳密に評価するとほとんどそうなっていない.ケア中心の末期医療をうたっている施設は,「緩和ケア医療」を目標にしている.また,医学・医療技術の進展は,キュアからケアへの移行を難しいものにしている.建前と現実の乖離という実状を正視し,ホスピス医療の理念をわが国らしいあり方で実践できるがん末期医療を構築していかなければならない.
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