昨日の患者
末期の酒
中川 国利
1
1仙台赤十字病院外科
pp.1763
発行日 2009年12月20日
Published Date 2009/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407102916
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死に逝く者に対して家族が枕元で口許を水で潤すことを「末期の水」と称する.死者の命が蘇ることを願って行うものとされ,かつては臨終の間際に行われていたが,昨今は息を引き取ったあとに行うことが多い.病院では飲酒は厳禁であるが,患者さんのたっての希望によって酒で別れを告げる人もいる.
90歳代のSさんが癌の再発で入院した.Sさんは若い頃からお酒が大好きで,酒がない戦後の混乱期でも「どぶろく」と称される密造酒を飲んでいた.さらに「どぶろく」に関する逸話や作り方を講演したり種々の雑誌に紹介し,民俗学研究者としても活躍した.
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