MEDICAL SCOPE
妊娠末期の内診とPROM
島田 信宏
1
1北里大学医学部産婦人科
pp.1067
発行日 1992年12月25日
Published Date 1992/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611900716
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早産やPROM(premature rupture of the membranes,前期破水)の原因が細菌感染であることがわかってから,私たちの日常の診療方針や母性保健指導の内容がかなり変わってきたのはみなさんも感じていることでしょう。PROMは早産期にもありますが,妊娠末期にもあります。妊娠40週で破水して来院する症例はかなりあるものです。
実は,この妊娠末期のPROM例にも細菌感染例がかなりあるのは周知の事実なのです。ときどき,妊娠末期の妊婦が破水したといって来院して,体温をはかると38℃ある症例もみられますし,PROMで来院して,無事分娩を終了したと思っていると,母体が悪寒とともに39℃の発熱をみるという場合もあります。このように,妊娠末期のPROMも細菌感染による場合が数多くあるのです。しかし,その割に母体が敗血症で重症になるような症例が少ないのは,非常に弱い力の毒しか示さない細菌が多いこと,また分娩と同時に感染巣である卵膜や胎盤,羊水などが体外に出てしまうので,それほど細菌感染症状が悪化しないで治癒してしまうことが多いからです。
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