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実践講座 高度肥満症患者のリハビリテーション治療・6
高度肥満症患者の心機能障害とリハビリテーション治療
Cardiac Rehabilitation on patients with severe obesity
江渕 貴裕
1
Takahiro Ebuchi
1
1東京都健康長寿医療センターリハビリテーション科
1Department of Rehabilitation, Tokyo Metropolitan Institute for Geriatrics and Gerontology
キーワード:
肥満
,
心不全
,
心臓外科術後
,
心臓リハビリテーション
,
閉塞性睡眠時無呼吸
Keyword:
肥満
,
心不全
,
心臓外科術後
,
心臓リハビリテーション
,
閉塞性睡眠時無呼吸
pp.1313-1319
発行日 2024年12月10日
Published Date 2024/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552203287
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本邦において,心不全で入院した患者の平均年齢は78.0歳と高齢であり,75歳以上の高齢者が68.9%を占めている1).高齢心不全患者におけるフレイルの合併率は60〜82%2),高齢心疾患患者におけるサルコペニアの合併率は29.7%3)とされており,心疾患患者のリハビリテーションでは,フレイル,サルコペニア,要介護状態の患者が主たる対象であると考えられる.フレイル,サルコペニアともにいわゆる「痩せ」の状態であり,日常生活動作(activities of daily living:ADL)の低下や転倒,入院,さまざまな疾患の予後に影響する4).リハビリテーションを施行するうえでは栄養状態,身体活動,社会参加などに配慮した介入が必要である.
一方,本邦における肥満の割合はbody mass index(BMI)30以上が男性5.4%,女性3.6%,BMI 35以上は男性1.2%,女性0.6%5)であり,心疾患患者においても,フレイル,サルコペニアの患者と比較すると少数であると考えられる.しかし,肥満は糖尿病,高血圧,脂質異常症などの生活習慣病をはじめ,さまざまな疾患と関連し5),心疾患においても心不全の発症リスクを増加させる6).また,冠動脈疾患において,肥満は加齢,喫煙,脂質異常症,高血圧,糖尿病などの冠危険因子とは独立した危険因子である.さらに肥満は突然死の危険因子である5).
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