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はじめに
現在,本邦の慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)の有病率は成人の約14%にまで増加しており,65歳以上の男性の約3割,女性の約4割となっている.CKD患者では,高齢化に加えて,糖尿病や高血圧,心血管疾患,脳血管疾患,認知機能障害などの合併,腎不全特有の病態によって二次性サルコペニアやフレイルの状態に陥りやすく,日常生活動作(activities of daily living:ADL)や生活の質(quality of life:QOL)も低下することが多い.
腎機能が廃絶し終末期腎不全に至った場合には,血液透析,腹膜透析,腎移植などの腎代替療法がある.しかしながら,本邦で90%以上の患者に選択されている血液透析は,体外循環であるため循環動態に大きな負荷を与え,高齢腎不全患者では忍容性をもたない場合も少なくない.透析施設への通院も高齢患者,家族,介護者にとって大きな負担となり,QOLの低下につながる.透析の目的は従来長期生存のためであったが,近年ではQOLを重視するべきとの考えにシフトしている.高齢腎不全患者において,透析導入や見合わせを緩和ケアの一環として捉える必要があることから,欧米や北米では保存的腎臓療法(conservative kidney management:CKM)が確立されてきた1).
近年,CKD患者の身体機能,ADL,QOLの低下への対策の重要性が認識されてきている.運動療法による身体機能や心血管系機能の向上,ADL向上,精神的効果などの総合的な健康状態へのメリットを重視し,運動療法を含む包括的な腎臓リハビリテーションが行われるようになってきている.本稿では,CKDにおけるCKMおよび腎臓リハビリテーションの意義について概説する.
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