腰椎変性疾患術後患者の転倒と身体機能の関連

Relationship between falls and physical function for after surgery spinal disease

要旨　［目的］腰椎変性疾患術後患者における転倒発生状況を横断的に調査し，影響する要因を分析した．［方法］対象は腰椎変性疾患に対して脊椎手術を施行した外来患者とした．転倒の有無の聴取のほかに，腰痛・下肢痛の程度，Falls Efficacy Scale-International，Physical Activity Scale for the Elderly，転倒についての質問票，体幹伸展筋力，膝伸展筋力，30秒椅子立ち上がりテスト，Functional Reach Test，片脚立位時間，体幹屈曲可動域，体幹伸展可動域，胸椎後彎角（thoracic kyphosis：TK），sagittal vertical axisを測定項目とした．統計解析にあたっては，まず転倒群と非転倒群の群間比較を行った．次に，群間比較にて有意差のあった変数を独立変数とした多変量解析を行った．［結果］対象は119名（男性38名，女性81名），平均年齢72.4±8.3歳，転倒率は17.6％であった．群間比較では，ボディマス指数（body mass index：BMI），TK，体幹伸展筋力，片脚立位で有意差を認めた．多変量ロジスティック回帰分析の結果，体幹伸展筋力（p＜0.01），TK（p＝0.047）が転倒発生に関連する要因として抽出された．［結語］腰椎変性疾患術後患者の転倒予防には，バランス能力とTK改善に加えて，体幹伸展筋力に着目した理学療法が必要な可能性がある．