Japanese
English
特集 リハビリテーションの医療経済学
医療経済評価におけるQOLの利用
Application of quality of life in health economic evaluation
池田 俊也
1,2
Shunya Ikeda
1,2
1国際医療福祉大学大学院医学研究科医学専攻
2国際医療福祉大学大学院医学研究科公衆衛生学専攻
1Graduate School of Medicine, International University of Health and Welfare
2Graduate School of Public Health, International University of Health and Welfare
キーワード:
医療経済評論
,
QOL
,
質調整生存年
,
QALY
Keyword:
医療経済評論
,
QOL
,
質調整生存年
,
QALY
pp.19-24
発行日 2024年1月10日
Published Date 2024/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552203016
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
近年,高額な医療技術が相次いで導入されており,人口の高齢化もあいまって,医療財源の効率的な利用が求められている.リハビリテーション医療も例外ではなく,医療経済評価の手法を用いて費用に見合った十分な治療効果があることをデータとして示すことが,保険償還の決定や診療ガイドラインの作成など,さまざまなレベルでの意思決定の際に重要な要素となることが予想される.
リハビリテーション医療の効果は,「ADLの改善」や「QOLの改善」で測ることが一般的である.田島1)は,もともとリハビリテーション学の実践的視点として日常生活動作(activities of daily living:ADL)概念が定着していたが,1970年代後半頃からADLへの着目から生活の質(quality of life:QOL)への着目への変化が見られるようになったと指摘している.上田2)は,リハビリテーションの究極の目標はHandicap(社会的不利)の克服にほかならないとし,ADL自立は必ずしもHandicap克服のための必要条件ではないことを強調した.また,QOLの評価には,客観的評価のみでは不十分であるとし,必ず患者・障害者自身の主観的な価値評価を同時に平行して行う必要があるように思われると,主観的QOLの重要性を指摘した.
本稿では,医療経済評価においてQOLの改善を反映させる方法を中心に述べることとする.なお,QOL評価全般については他書を参照されたい3).
Copyright © 2024, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.