Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
庄野潤三の『世をへだてて』・2—入院患者の小社会
高橋 正雄
1
1筑波大学
pp.1400
発行日 2022年11月10日
Published Date 2022/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552202676
- 有料閲覧
- 文献概要
昭和62年に発表された庄野潤三(1921〜2009)の『世をへだてて』(文藝春秋)には,「脳溢血」で救急病院に搬送された庄野や家族が,他の入院患者から励まされる様子が描かれている.
64歳の秋,自宅で倒れた庄野は,溝の口の救急病院に入院したが(総合リハ49:1118,2021),そこでCTスキャンを見せながら行われた医師の説明は,止血剤で出血は止めてあるが,脳にむくみが来ると脳圧が高くなって,脊髄を圧迫して植物人間になる可能性がある.脳の切開手術をすればその心配はなくなるが,手術をするには年齢から見てぎりぎりの線で危険を伴うというものだった.
Copyright © 2022, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.