Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
庄野潤三の『世をへだてて』—脳出血発症時の状況
高橋 正雄
1
1筑波大学
pp.1118
発行日 2021年11月10日
Published Date 2021/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552202368
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昭和62年に庄野潤三(1921〜2009)が発表した『世をへだてて』(文藝春秋)には昭和60年11月に庄野が64歳で脳出血を発症した時の状況が描かれている.
この日は午後から冷たい風が吹いていたため,「いやな天気だな」という気持ちがあって,散歩に出かけるのを遅らせていた.庄野はこの逡巡自体,脳内で出血の前触れが始まっていたためではないかと後推量しているが,外が暗くなってこれ以上遅らせるわけにはいかなくなったため,ようやく立ち上がった.
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