Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「愛する人に伝える言葉」—患者には余命を宣告されてからも成すべきことがある
二通 諭
1,2
1札幌学院大学
2札幌大谷大学
pp.1401
発行日 2022年11月10日
Published Date 2022/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552202677
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「愛する人に伝える言葉」(監督/エマニュエル・ベルコ)は,余命宣告という,だれにでも起こり得る事態から起動する.膵臓癌に冒された演劇スクールの教師・パンジャマン(ブノワ・マジメル)は,余命を半年から1年と宣告される.本作は,患者の生活の質を重視する癌専門医のガブリエル・サラの医療実践をモチーフとしているが,パンジャマンに宣告し,伴走する医師・エデをサラ本人が演じている.病院スタッフも一部を除いて,実際の医療従事者を起用.なるほど,どこかノンフィクションの香りがするのも頷ける.
本作は,夏から秋,冬,春へと,四季で区切った4つのパートによって構成されている.これが縦軸だとするなら,各パートで描かれる横軸は,看護師,医師らのミーティング,医師,アシスタント看護師とパンジャマンとその母・クリスタル(カトリーヌ・ドヌーヴ)による対話,演劇スクールにおけるパンジャマンと生徒たちとのやりとりだ.
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