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はじめに
レーザー光や赤外線はさまざまな周波数帯域を規定する電磁波の一種である(図1).レーザー光や赤外線は物理療法分野で頻繁に用いられる電磁波であり,波長やエネルギー量によって生体への影響がある程度明確にされている.また,われわれの日常生活においてもこれらの電磁波は切り離すことのできない重要なものとなっている.レーザーはCD・DVDの読み込みや商品のバーコードの読み取り,パソコンのマウスなどの身近なものから,測量,生産加工,航空,大気中の物質濃度の測定などさまざまな分野において積極的に使用されている.また,日常生活場面における赤外線は,データの無線通信や家電製品のリモコン,赤外線カメラ,温熱作用を求めた各種ヒーターやオーブントースターなどで使用されている.
人の目に見える可視光線の波長は赤色の約760nmから紫色の約380nmの帯域のみである.赤外線は赤色の波長より長い波長であり,紫外線は紫色の波長より短い波長であるため両者とも人の目には見えない無色透明の電磁波である.英語表記における赤外線はInfrared;IR(可視光線の赤色の下方)であり,紫外線はUltraviolet;UV(可視光線の紫色の上方)と記される.なお,こたつやストーブなどの赤外線を用いた各種ヒーターは照射すると赤色となる場合が多いが,これは可視光線の赤色の波長を同時に照射しているからである.
物理療法で用いられる赤外線治療器は遠赤外線に加え,近年では近赤外線が多く用いられている.また,レーザー治療器におけるレーザー光も近赤外線領域を中心としており,それぞれの発振方法や特徴の違いはあるものの生理学的効果や適応と禁忌は同じと捉えて問題ない.
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