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特集 時代とともに変わる精神疾患—その変化の本質を理解する
うつは世につれ世はうつにつれ—世にうつろううつ病,うつ病がうつす世
Depression reflects the times, and the times reflect depression
小林 聡幸
1
Toshiyuki Kobayashi
1
1自治医科大学精神医学講座
1Department of Psychiatry, Jichi Medical University, Tochigi, Japan
キーワード:
うつ病
,
depression
,
有病率
,
prevalence
,
発生率
,
incidence
,
診断
,
diagnosis
Keyword:
うつ病
,
depression
,
有病率
,
prevalence
,
発生率
,
incidence
,
診断
,
diagnosis
pp.866-871
発行日 2025年6月15日
Published Date 2025/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.048812810670060866
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抄録
うつ病の時代変遷は折々語られ続けてきた論点であるが,診断基準や「うつ病」概念も揺らぎ続けてきたところで,確たる所見を導き出すための参照点がないのが実情である。「うつ病が増えている」とよく言われる根拠は厚生労働省の患者調査だが,有病率に変わりはないというデータもあり,医師の診断率や患者の受療率の増加に基づく可能性がある。海外のデータもまちまちで,増減しているのか,変化はないのか,不明である。また,「うつ病の軽症化」なるものは,以前はうつ病とされなかったものをうつ病として拾っている可能性があり,見た目の増加や病像の変化と捉えられる要因となっているかもしれない。

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