Japanese
English
特集 脊髄損傷の多角的マネジメント
血圧調節障害
Dysfunction in blood pressure control
伊藤 倫之
1
Tomoyuki Ito
1
1京都近衛リハビリテーション病院
1Kyoto Konoe Rehabilitation Hosipital
キーワード:
自律神経障害
,
1回心拍出量
,
運動負荷
,
温熱負荷
Keyword:
自律神経障害
,
1回心拍出量
,
運動負荷
,
温熱負荷
pp.1057-1062
発行日 2022年9月10日
Published Date 2022/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552202607
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はじめに
人間にとって二足歩行をしていることもあり,脳血流をはじめとして,必要な部位に血流を保つため,血圧調節は重要な課題である.血圧は,心拍出量(1回心拍出量×心拍数)と末梢血管抵抗の積で表される.血圧の変化は,圧受容体で感知され,高い場合は,頸動脈洞や大動脈弓部の圧受容器で感知され,低い場合は,肺静脈や心房にある心-肺圧受容体で感知され,舌咽神経や迷走神経を経て,延髄孤束核や視床下部に入る1).そして,心臓血管中枢を介し,それぞれ自律神経によって,1回心拍出量,心拍数や末梢血管抵抗を調節して血圧調節を行っている.
自律神経は,副交感神経は遠心路が主に舌咽神経や迷走神経などの脳神経から分岐しているのに対し,交感神経は,胸髄1番から腰髄2番の脊髄より出て,交感神経節を形成し,上頸神経節,中頸神経節,下神経節や胸髄1〜4の神経が直接心臓を支配している.そのため,頸髄損傷,および胸髄4番までの上位胸髄損傷者では,血圧調節が障害されている.また,腎臓や副腎などへの交感神経は,胸髄から上腸間膜交感神経節を経て投射されており,腎でのNa再吸収調節がなされている2).
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