Japanese
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特集 神経難病のリハビリテーション
神経難病療養者の看護ケア
Nursing care for people with intractable neurological diseases
原 三紀子
1,2
Mikiko Hara
1,2
1東邦大学看護学部成人看護学研究室
2聴く研究会
1Department of Adult Nursing, Faculty of Nursing, Toho University
2Study Group of Listen
キーワード:
心のケア
,
聴く
,
アクティブリスニング
,
看護継続教育
Keyword:
心のケア
,
聴く
,
アクティブリスニング
,
看護継続教育
pp.145-152
発行日 2022年2月10日
Published Date 2022/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552202424
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はじめに
神経難病は,原因が不明で治療が未確立な進行性の疾患であり,障害を受けた神経領域に多彩な神経症状を呈する.それゆえ,機能維持や機能障害に伴う廃用症候群の予防のためのリハビリテーションは重要となる.リハビリテーション看護の理念は,セルフケアの考え方に基づき,患者個々人の主体性・意思決定を重視し,一人の人格をもった人間としての回復を支援することであり,慢性・難治性疾患患者のリハビリテーション看護では,単に機能維持や回復だけが目的ではなく,心理的サポートとしての比重も大きい1).
大学病院の脳神経センターで看護師の臨床経験をもつ筆者は,リハビリテーション訓練を受けていた神経難病療養者から,「あんなに動けなかった脳外科の患者さんが,どんどん回復していく姿を見るのは“良かった”と思う反面,良くなっていく患者さんと同じ空間に自分がいることが,なんだかとてもつらくなる」と言われたことが印象に残っている.回復を期待することができない難病を病むという体験は,患者の心にさまざまな影響を与えているということを実感させられた.本稿では,神経難病療養者が難病をもつことによる心の様相について取り上げ,さらに筆者らの研究チームで取り組んでいる神経難病療養者の心のケアを実践するための教育活動から得られた知見を紹介し,神経難病療養者を支える心のケアについて再考したい.
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