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はじめに
2018年に世界保健機関(World Health Organization;WHO)は30年ぶりに疾病及び関連保健問題の国際統計分類(International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems;ICD)を改訂しICD-11として公表した.この改訂に伴い,慢性痛の新分類が作られ7つのカテゴリーに分けられた.そのうちの1つが,外傷や医療行為を契機に生じた痛み(post-traumatic post-surgical chronic pain)である1).外傷や医療行為を契機に生じた痛みには,外傷性頸部症候群,低脳脊随圧症候群,(乳腺,腰椎,開胸手術など)術後遷延痛,血管穿刺後遷延痛,四肢切断後の断端部痛や幻肢痛などが含まれる.
複合性局所疼痛症候群(complex regional pain syndrome;CRPS)は,慢性一次性疼痛症候群の一つに挙げられているが,「外傷の既往があるか,不動化の原因がある」ことが前提となっており,分類上は慢性二次性疼痛症候群の「外傷や医療行為を契機に生じた痛み」に入る場合が多い.ICD-11の慢性痛分類において,「外傷や医療行為を契機に生じた痛み」が1つのカテゴリーとして扱われている理由は定かでないが,痛みが続く要因として「他者の落ち度によるのではないか」という思いや補償問題などが関係し,改善しにくいことと関連している可能性も考えられる.本稿では医療者が戸惑うことの多い「外傷や医療行為を契機に生じた痛み」を有する患者に対してリハビリテーション治療を行ううえで考慮すべき点や注意点などについて解説する.
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