Japanese
English
特集 複合性局所疼痛症候群とリハビリテーション
ハイブリッド型運動療法
Hybrid exercise therapy
森岡 周
1
Shu Morioka
1
1畿央大学ニューロリハビリテーション研究センター
1Neurorehabilitation Research Center, Kio University
キーワード:
複合性局所疼痛症候群
,
病態メカニズム
,
EIH
,
ハイブリッド型運動療法
Keyword:
複合性局所疼痛症候群
,
病態メカニズム
,
EIH
,
ハイブリッド型運動療法
pp.951-958
発行日 2021年10月10日
Published Date 2021/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552202330
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はじめに
複合性局所疼痛症候群(complex regional pain syndrome;CRPS)とは,外傷や神経損傷の後に痛みが遷延する症候群のことである.CRPSにおいては,痛みのみならず関節可動域制限,筋力低下,協調運動障害,知覚異常など,身体機能障害が認められる特徴がある.身体機能障害は復職を妨げる重大な因子1)であることから,疼痛緩和のみならず,身体機能の改善を目的としたリハビリテーション医療を展開することは重要である.
米国CRPSガイドライン第4版2)では,理学療法や作業療法を中心とした臨床介入はCRPS治療のファーストラインと考えられている.その目的は,異常な運動パターンや中枢感作の是正,患者教育,痛みや運動恐怖心に対するマネジメントとされている.現在では,運動療法や身体活動を向上させる課題は,CRPS治療において最優先すべき手段と認識されている.
一方,CRPS患者において,患側空間への気づきの低下3)や患肢の身体イメージ障害が報告4)されている.こうした障害と疼痛には関係がみられる5,6)ことから,単純な運動療法のみでは効果が得られにくい.ゆえに,病態の特徴に応じたハイブリッド型の運動療法を展開する必要がある.本稿では,CRPSに対して,なぜハイブリッド型運動療法を適応すべきなのかを病態メカニズムから概説する.
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