巻頭言
リハビリテーション科医師として臨床に向き合う
尾関 恩
1
1藤田医科大学保健衛生学部リハビリテーション学科
pp.627
発行日 2021年7月10日
Published Date 2021/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552202258
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約20年前,私は藤田保健衛生大学病院(現,藤田医科大学病院)のリハビリテーション科医師となった.入局してから現在まで,先輩からたくさんの指導をいただいている.ここに記載できる内容から,門外不出のもの(公にできない!?)まで数々の名言があり,これらは私の医師としての根幹を成している.このなかで「臨床が第一である」という教えを私は最も大切にしている.もちろん医師として当然のことであるが,私の臨床経験を省みて,その意味をもう一度考えた.
症例はWallenberg症候群の高齢女性.軽度の感覚障害と失調,重度の摂食嚥下障害を有していた.経口摂取を強く望んでおり,当科で入院加療を開始した.精査の結果,まずは間接訓練で機能改善を図る方針となったが,数か月にわたるリハビリテーション治療実施後も機能改善が乏しく,耳鼻咽喉科による嚥下機能改善手術が施行された.現在,当科では十数件の嚥下機能改善手術後のリハビリテーション治療を経験しているが,この患者は初めての手術症例であった.
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