Japanese
English
入門講座 認知行動療法・5
整形外科疾患—慢性疼痛
Orthopedic disease: chronic pain
稲熊 成憲
1
,
許山 勝弘
2
,
大嶋 伸雄
3
Shigenori Inaguma
1
,
Katsuhiro Nomiyama
2
,
Nobuo Ohshima
3
1JCHO東京高輪病院リハビリテーション室
2福岡リハビリテーション病院リハビリテーション部
3東京都立大学大学院人間健康科学研究科
1Department of Rehabilitation, JCHO Tokyo Takanawa Hospital
2Department of Rehabilitation, Fukuoka Rehabilitation Hospital
3Graduate School of Human Health Sciences, Tokyo Metropolitan University
キーワード:
整形外科疾患
,
慢性疼痛
,
認知行動療法
,
レジリエンス
Keyword:
整形外科疾患
,
慢性疼痛
,
認知行動療法
,
レジリエンス
pp.671-678
発行日 2021年7月10日
Published Date 2021/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552202267
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はじめに
現在の医療現場において医療保険上,長期入院加療としてリハビリテーションを行える疾患は限られている.なかでも上肢の運動器リハビリテーションを行う場合,患者・クライエント(client;CL)は通院によるリハビリテーションは継続となるが,その後,高いレベルで自己管理能力が必要となる.そしてCLの自己管理能力を高めるためにはCL自身が身体状況を適切に理解し,正しい治療過程をきちんと遂行できるかどうかが非常に重要になる.
セラピストから正しい指導を受けて,CLみずからが自身の問題に対処できる「self help patient」となることが治療上有効であり,CLを取り巻く周囲の生活環境においてもそうした理念に対応した状況であることが望ましい.例えば生活上の近親者がCLに過度の援助をしないことなど,CLの生活動作と身体状況に適した治療的生活環境は,治療的アプローチからではなく「患者教育」および「心理教育」から生じてくる.そして,そこに認知行動療法(cognitive behavioral therapy;CBT)の果たす大きな役割が存在する.
本稿ではまず稲熊が整形外科におけるCBTの意義について解説し,その後,許山が本論と具体的技法につき記述する.
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