Nomade
真摯に向き合うこと
下川 宣幸
1
1ツカザキ病院脳神経外科
pp.851-852
発行日 2015年10月25日
Published Date 2015/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5002200220
- 有料閲覧
- 文献概要
現在,国内外のSpine関係の学会は数多く開催されている.学会に参加することで,その分野で活躍されている医師たちとの交流を図ることができ,また多くの新たな知識や最新の治療法などを見聞きすることができる.私個人は,この事実を頭ではわかっていたけれど,なかなか体感できずにいた.
私は平成3(1991)年に大阪市立大学医学部を卒業し,同大学脳神経外科教室に入局した現在25年目の臨床医である.今振り返ると,医師になりたての頃は,学会参加および発表は苦痛でしかなかった.上級医師にスライド内容を何度も指導してもらい,医局会の予行演習でようやく教授の了承を得られた時点ですでに疲労困憊の状態であった.“いわれるがまま”の状態でいざ本番を迎え,会場からの質問に対し返答できずに,茫然と檀上に立ち尽くすといった失態を演じた経験がある.つまり能動的にその演題に向き合っていなかったのである.ある疾患(群)のその当時の標準的な病態学・診断学および治療を深く理解せず,発表をする意味・目的を明確に理解していなかったからである.学会発表という作業をしていたに過ぎない.会場にいても,勉強不足のため,ほかの医師たちの発表内容を理解できずに,ただ会場後方の席にぽつんと座っていただけであった.国際学会ではなおさらのことである.
Copyright © 2015, MIWA-SHOTEN Ltd., All rights reserved.