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はじめに
近年,女性医師の医師全体に占める割合は高まっており,厚生労働省の調査によると1975年が9.8%,2006年が17.2%と倍増している1).また,年代別にみた女性医師の割合は,50歳以上では10%前後であるが,30歳代は20%を超え,29歳以下では36%と増加している2).リハビリテーション(以下,リハ)科における女性医師の割合も日本リハ医学会ホームページによると50歳以上が7.7%,30歳代が23.6%,29歳以下が43%と,全体の年代別にみた女性医師の割合がより30歳代と29歳以下で増加している.近年の医学部定員の4割が女性である現状から,今後もリハ科における女性医師の比率が更に高まると予想される.女性医師の就業率は男性同様卒後90%を超えているが,35歳前後に76%へ低下し50歳代には86%まで回復する3).鹿児島大学リハ医学講座は1988年の開講以来66名の入局者があり,そのうち女性が22名(33.3%)であった.女性医師の就業率は母数が少ないが21/22名(95.5%)と高率で,その中に復職者が11名いた.この要因として,私自身はリハ科医であったことが復職を可能にしたと感じている.
女性医師の就業率には,男性医師と異なり,結婚や出産等による離職後の復職の可否が大きな影響を与えることが考えられるが,それに関与する職場環境は都市部と地方,診療科の特性だけでなく,配偶者の家庭観や地域の育児環境でも異なることから,女性医師の置かれている社会・文化的な背景が近似していることが期待できる特定の地域での調査は新しい事実を明らかにする可能性がある.
女性医師全般に対しての復職に対する調査は多くあるが,特定の地域における診療科別の女性医師についての調査はない.今回,リハ科を含めた鹿児島大学医学部の女性医師の就業率,復職者率について調査し,次に,その中に含まれる復職者を対象として2次アンケートを行い,復職した女性医師の視点から復職の過程で重要な要因と問題点についての調査結果と共に,これまでの女性医師の就業や復職に関する調査報告について触れ,リハ科女性医師の増加と就業ならびに復職の促進に何が重要かを述べる.
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