Japanese
English
特集 脳卒中生活期—QOL向上にむけて
高次脳機能障害
Higher brain dysfunction
武原 格
1
Itaru Takehara
1
1東京都リハビリテーション病院リハビリテーション科
1Department of Rehabilitation Medicine, Tokyo Metropolitan Rehabilitation Hospital
キーワード:
高次脳機能障害
,
生活期
,
外出
,
家事
,
自動車運転
Keyword:
高次脳機能障害
,
生活期
,
外出
,
家事
,
自動車運転
pp.141-146
発行日 2025年2月10日
Published Date 2025/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.038698220530020141
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はじめに
脳卒中患者が急性期治療を終え,回復期リハビリテーション病棟にて各種リハビリテーション治療後,自宅へ退院すると,入院中は必要としなかった生活に必要なさまざまな出来事に苦労する.例えば,装具や杖などを用いて病院内の歩行が自立となった患者であっても,傾斜がきつい道路や舗装されていない道路などを歩くことは容易ではない.同様に,注意障害や記銘力障害などの高次脳機能障害をもつ脳卒中患者では,入院生活と異なる情報量の多さに困惑し,疲労を生じやすい.さらに,これらの障害は,目に見えない障害のため,身体機能障害よりも周囲の人々に認識されず,不当な評価を受けることも少なくない.
高次脳機能障害をもつ脳卒中患者にとって日常生活で大きく問題になる事項は,精神障害者保健福祉手帳の日常生活能力の判定に記載されている内容(表1)と重なる部分がある.多くの事柄が問題点として挙げられるが,本稿では,公共交通機関を用いた外出,家庭における役割として重要な家事,公共交通機関が発達していない地域で必要となる自動車運転を中心に解説する.
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