巻頭言
セラピストの教育とコロナの影響
玉垣 努
1
1神奈川県立保健福祉大学リハビリテーション学科作業療法学専攻
pp.431
発行日 2021年5月10日
Published Date 2021/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552202212
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後々に2020年というと新型コロナウイルス感染症(以下,コロナ)と言われるのであろう.執筆中の今現在(2020年12月)第3波の真っ只中である.毎日新規感染者の最大数が更新され,重傷者数も積み上げている状況で,医療崩壊の危機が叫ばれている.個人的には教育の世界に入り10年が過ぎ,なんとか手応えが得られてきている最中であった.加えて,2020年の入学生から新カリキュラムになり,新たな科目の設定や地域実習の必修化も含めて実習単位が増加した.この激動の2020年において非常に感じること2つあり,提言することとする.
一つ目が大学教育の面である.今年のようなことが,一時的なことなのか継続的なことなのかで実際は異なってくるが,コロナに関して理学療法士・作業療法士養成機関は非常に混乱してしまった.入学式などの式典の簡略化はもとより,従来のやり方はすべてなくなり新たな取り組みをせざるを得なかった.まず授業はほぼリモートで実施した.なんと手応えのないことであろう.できないなかでやれることと考えるならば,良いと捉えるべきであろう.ただ,患者様たちに触る技術は不可欠と信じて40年近く過ごしてきただけに,ほんとに大丈夫であろうかと疑心暗鬼になっている.加えて,臨床実習が中止になり,学内実習というシミュレーションの実習となり,リアリティが欠けた都合の良い実習になってしまった.たぶん,ここ2,3年間の新卒の理学療法士・作業療法士の就職後の新人教育は重要で,経験不足による問題に注意が必要と考えている.学校での教育の足りなかった部分は素直に認め,申し訳ないが実務の理学療法士・作業療法士にお願いするしかないかと考えている.
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