Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
- サイト内被引用 Cited by
はじめに
Three dimensional printer(3Dプリンタ)は,成形型を用いずに単品または少数のモデルが製作できる,形状の異なる複数のモデルを一度に短時間で製作できる,そして製作自体は個人の技術力に依存しないなどの特徴を持つことから,ラピッドプロトタイピング(rapid prototyping)のツールとして,1990年ごろより産業用として利用されてきた.ラピッドプロトタイピングとは,試作品をより速く製造するための技術である.つまり従来の3Dプリンタは,デザインの実体化や形状確認用の試作という用途が主流であった.
一方でinformation and communication technology(ICT)の発展は,モノや情報と個人との関係性において,われわれの生活にさまざまな変革を与えてきた.モノづくりにおいては,デジタルファブリケーション1)とよばれる大きなインパクトを生み出した.デジタルファブリケーションとは,「デジタルデータからさまざまな物質(フィジカル)へ,またさまざまな物質(フィジカル)をデジタルデータへ,自由に相互互換するための技術の総称」2)といわれており,そのなかで3Dプリンタは,デジタルファブリケーションを実現する技術の1つとされている.そして情報のみならず,実体を作り出すモノづくりとつながることにより,個人の個別ニーズや嗜好とより近い関係性をもつことができるようになることを示唆している.
よって,3Dプリンティング技術は,福祉用具や各種支援機器・道具に求められる“多様な個別性に対応する”という課題に対処できる可能性をもつ.すでに3Dプリンタを活用したさまざまな取り組み事例は国内外問わず紹介され3),リハビリテーション関連機関や特別支援教育での教材製作などの取り組み事例が報告されている4-6).今後も3Dプリンティング技術の活用範囲は,ますます広がっていくことが期待される.
そこで本稿では,3Dプリンタの特徴と種類,3Dデータ作成から出力までの流れ,そして福祉用具や支援機器の適合相談場面などの支援技術サービスにおいて期待される,3Dプリンティング技術について概説する.
Copyright © 2020, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.