Sweer Spot 映画に見るリハビリテーション
「のぼる小寺さん」—生徒相互の教育力とドラマを<見る>というモメントから活写する
二通 諭
1
1札幌学院大学
pp.1015
発行日 2020年10月10日
Published Date 2020/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552202066
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近年,学校の部活動が「ブラック部活」と形容されるほどに問題視されている.生徒,教員の心身を疲弊させ,追い詰め,時には,自死という悲劇さえ招いているからだ.一方,映画が描く部活は,概して生徒たちの成長譚.部活に宿る教育力や人格形成機能を讃える.これもまた多くの人々の部活の記憶,換言すれば<心の真実>と重なる.
「のぼる小寺さん」(監督/古厩智之)は,大学の教職課程などで学びの対象となるヴィゴツキーの<発達の最近接領域>の理論を想起させるという点で出色.<自分一人でできること>と<自分一人でできないこと>の間に,一定の助けがあればできる領域がある.それが,現下の発達水準に対して「明日の発達水準」として喩えられる<発達の最近接領域>.
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