特別寄稿
高次脳機能障害当事者の内的世界への招待—『「脳コワさん」支援ガイド』を読む
上田 敏
1,2
1日本障害者リハビリテーション協会
2元東京大学
pp.996-997
発行日 2020年10月10日
Published Date 2020/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552202061
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41歳で脳梗塞を発症した当事者の感覚とは
「脳コワさん」とは耳慣れない言葉であるが,「脳がこわれた人」の略で,もともとは著者の奥さんの造語だという.
『「脳コワさん」支援ガイド』(医学書院)の著者である鈴木大介氏は「社会派」のルポライターで,『家のない少女たち——10代家出少女18人の壮絶な性と生』(宝島SUGOI文庫,2010年),『最貧困女子』(幻冬舎新書,2014年),『老人喰い——高齢者を狙う詐欺の正体』(ちくま新書,2015年)など,「社会的弱者」を守る著書を若くして10冊近く出していた.しかし,過労のためか2015年に41歳で右脳の脳梗塞を発症.幸い麻痺は軽く,すぐに歩行でき,左手の麻痺も間もなく回復したが,左半側空間無視をはじめとする多彩な高次脳機能障害に大いに苦しむことになる.
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