特集 自立支援
高次脳機能障害と自立支援
渡邉 修
1
Shu Watanabe
1
1首都大学東京人間健康科学研究科
pp.33-39
発行日 2011年1月15日
Published Date 2011/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551101841
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はじめに
2001年,厚生労働省は高次脳機能障害支援モデル事業を開始し,2004年には,診療報酬請求の対象疾患として「高次脳機能障害」を単独で申告できるようにし,2006年,障害者自立支援法の実施にあたっては,都道府県の地域生活支援事業のなかに高次脳機能障害支援普及事業を盛り込んだ.さらに2007年,同省障害者施策推進本部は,重点施策5ヵ年計画の中で,重点的に実施する施策として,保健・医療の項では「高次脳機能障害の支援拠点機関の設置等」を掲げ,2012年までに全都道府県に高次脳機能障害支援拠点機関が設置されるよう目標設定がなされた.このように,この10年間に,わが国は高次脳機能障害者支援のための施策を医療,福祉に反映させてきた.
本稿では,この10年間で明らかにされた高次脳機能障害者の実情を整理し,自立に向けた支援のあり方を,高次脳機能障害そのものに対する支援と社会資源による支援に分け,筆者の経験から提示したい.
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