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はじめに
超高齢社会を迎えた日本では,がんに罹患する患者は増加している.その患者数は増加の一途を辿っており,2016年には年間100万人超えた.現在では男女ともに罹患率は50%を超え,2人に1人が生涯で一度はがんに罹患する状況にあり,がんは国民病ともいえる.一方で,免疫チェックポイント治療薬や分子標的治療薬などの発展により,5年生存率は2007年には49%であったのに対して,2022年には64.1%と大幅に延長している.がんの死亡率は男性26.2%,女性17.7%とされ,がんとともに生きるがんサバイバーが増加している.
担がん患者の30〜95%に骨転移が認められたと報告され1),骨転移を有する患者は非常に多い.骨転移は症候化するとquality of life(QOL)の維持,向上に多大な影響を与えるだけではなく,全身状態(Performance Status:PS)の低下を招き原発がんに対する治療の継続を困難にすることから,骨転移の制御は,がん集学的治療において原発がんに対する治療に匹敵する重要性があるとするbone managementの概念が報告されてから,10年以上が経過した.各学会や講演会では骨・脊椎転移に関連するものが増え,医療者の骨・脊椎転移に対する意識も高まったと感じている.骨・脊椎転移に対する治療は,骨修飾薬,放射線治療,手術療法が中心となるが,近年では,ラジオ派焼灼療法や動脈塞栓術などのinterventional radiology(IVR)や放射性医薬品の登場など,治療の選択肢は増えている.一方,麻痺症状の改善や短期間での脊椎の安定化には脊椎手術が適当であるが,骨・脊椎転移治療は,全身治療への影響を最小限にする一方で,最大限のQOL改善を得ることが求められることから,その手技には可能な限りの低侵襲化が必要である.本稿では,脊椎転移に対する最小侵襲脊椎安定術(minimally invasive spine stabilization:MISt)について述べる.
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