やさしい目で きびしい目で・22
ユニバーサルデザイン
高柳 泰世
1,2
1本郷眼科
2名古屋大学公衆衛生学
pp.1757
発行日 2001年10月15日
Published Date 2001/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410907535
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世の中が複雑になるにつれて,いろいろな分野が専門別になり,それを統合する適当な人がいなく,それぞれの専門をどうつなげるかが課題になってきている。私は十年ほど前に,近くの日本人間工学会の有志でバリアフリー研究会を作り,市土木局職員,大学建築科教授,芸術大学デザイナー,標識製造会社,視覚障害者,聴覚障害者,肢体不自由者なども参加して,補助具のデザイン,街のデザインなどについて話し合ってきた。バリアフリーは既存のものにバリア性を見つけて改善していくのだが,それ以前に,設計の段階からバリアをなくしていくのがユニバーサルデザインである。
例えば公衆トイレは,視覚障害者には狭くて手を広げて確認できる大きさがよい。車椅子使用者にはそれでは狭い。車椅子で介助犬を持つ人にはさらに広い必要がある。トイレで水を流す方法も点字で場所,流し方の説明がないと個室になってしまうトイレでは大変に困る。場所と方法さえわかれば力を入れて押すものでもよい。車椅子の人は座ったまま手の届くところにペーパー,ボタン,非常ボタン,支えになるバーなどすべてがないと困る。また,聴覚障害者は文字情報が必要で,手話でコミュニケーションを図ることがあるが,最近ではケータイとかインターネットによってほとんど満足すべき文字情報が得られる。先天聴覚障害者には手話がよく,中途聴覚障害者には要約筆記あるいはノートテイクがよいといわれるなど,それぞれに合わせた補助手段が用意されるべきものと思われる。
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