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特集 脊髄損傷リハビリテーション―現状・課題・展望
髄腔内バクロフェン治療
Intrathecal baclofen.
水落 和也
1
Kazuya Mizuochi
1
1横浜市立大学附属病院リハビリテーション科
1Department of Rehabilitation Medicine, Yokohama City University Hospital
キーワード:
痙縮
,
バクロフェン
Keyword:
痙縮
,
バクロフェン
pp.937-940
発行日 2008年10月10日
Published Date 2008/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552101350
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現状
1.植え込み型プログラム式薬剤注入ポンプシステムを用いた髄腔内バクロフェン治療開発の経過
バクロフェンは,中枢神経系の抑制物質であるγ-アミノ酪酸(GABA)の誘導体として1960年代前半に合成された化合物であり,GABABレセプターに作用して脊髄の単シナプス反射と多シナプス反射を抑制し,抗痙縮作用を発現する.バクロフェンは,血液脳関門を通過しにくく,全身投与で脊髄内濃度を確保するには大量の経口摂取が必要となるため,重度痙縮に対して副作用を生じずに痙縮を軽減することは困難であった.しかし,1985年にPennとKroin1)によって,ごく少量のバクロフェン髄腔内投与により痙縮が顕著に軽減されることが見いだされ,髄腔内バクロフェン治療(Intrathecal baclofen,以下ITB療法)実用化の道が開かれた.
一方,米国メドトロニック社は1980年代初頭,心臓ペースメーカーの技術を応用して完全植え込み型プログラム式薬剤注入ポンプの開発を開始した.このポンプは体外からの薬剤投与速度,投与量,投与モード設定を可能にしたため,植え込み型固定レートポンプに比べ,薬剤投与の調整という点ではるかに有効な製品であり,1988年には抗癌剤投与目的で米国医薬品局(FDA)の承認を受け,1991年には癌性疼痛および非癌性疼痛に対するモルヒネ投与に関して承認を得た.
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